メモリー・シック





この川辺はいつもは静かなのに
今日は何故か風が強くて

君の声も足音も何もないのに
耳を澄ませば聴こえてきそうだ



今さら思うことは

『もう時間が経ち過ぎた』




このなまぬるい風が何度だって
運んでくるんだ
なくした『あの時』を


物語にもう続きはないけど
忘れないでね
二人はちゃんと幸せだったこと





手を引いてもらった道を一人で歩いてみた

君がいないこと以外は何も変わってなかったよ



そんなことくり返して
今日もまた陽が暮れて



前向きになってみようって蹴飛ばした
石の先にさえ君の幻が揺れて


赤い光もあの時のまま止まったんじゃないかって
息も忘れて倒れてしまいそうだった





幸せになれと思う分
あたしも幸せにならないと


『君と一緒が良かった』なんて
今はただのワガママでしかない





もうやめようと思って最後に辿った思い出の道

知ったのは

こんなにも愛されていたこと






君はどこにもいないんじゃなくて
ちゃんと記憶の中にいたんだよね


そろそろあたしだけの幸せを探しに行こう





この道の先へ

















inserted by FC2 system